あごのずれや良くないかみ合わせは全身をゆがめるからです。
姿勢とあごのずれ、かみ合わせは密接な関係にあります。あごと咬み合わせは、常に全身を支えている筋肉に連動しています。そのため、あごがずれ、かみ合わせが悪くなると、偏った緊張を連動する筋肉に次々に伝えていってしまいます。偏った筋肉の緊張が続けば、姿勢をゆがめ、骨格を前後、左右、上下にゆがめます。さらにそのゆがみは、筋肉のこり、血管、神経の圧迫などによる痛み、しびれなどの症状を引き起こし、血液、リンパの流れにも影響します。その上自律神経(交感神経、副交感神経)や内分泌(ホルモン)系、免疫系にまで悪影響をおよぼすとさえ言われています。 |
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また、様々な心身の症状を引き起こす、いわゆる不定愁訴の症状と関連することがあります。
不定愁訴とは頭痛、首筋のこり、肩こり、背中の痛み、四十肩、五十肩、腰痛、目のかすみ、耳鳴り、手足のしびれ、冷え、あごの違和感、姿勢の悪さ、歩行不良、疲れやすさ、気力低下などの明確な原因がわからないのに身体の不調を訴えるものを言います。
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あごが頭と全身のバランスをとっています。 あごがずれると・・ 全身にゆがみが広がります。 |
あごの位置って要するにどういうことですか? |
あごの位置とは下あごの位置のことです。下のあごは0.9kgもあるおもりなのです。
。かみ合わせが悪い状態とは、その下あごがずれていることなのです。
下あごは頭や上あごにクッションを介して筋肉や人体で支えられています。そして時計の振り子やブランコのようにぶら下がって、まさにおもりとして、頭蓋と身体全体の重心バランスをとっています。
体中の関節のなかで左右同時に動くものは下あごの骨の関節だけです。特別な機能を持った関節で、頭の位置と身体の重心の三次元的なバランスをとっています。しかも上と下のあごで作られる咬み合わせがきわめて重要に作用します。
下あごはそのほかにも咀嚼、発語、嚥下など生体にとってきわめて重要で複雑な機能を受け持っているのです。 |
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あごのずれ、かみ合わせを直すとどうなるんですか? |
治療によってあごの位置や咬み合わせを正しく調整すると、全身の筋肉骨格がバランスのとれた状態にに少しずつ改善され、心身共に本来の健康的な状態に近づくものと考えられます。
人間が人は常に前後左右のバランスをとり、正しい姿勢の均衡を保とうとします。人間がもっとも安定し、リラックスした状態の時、筋肉は必要最小限の働きで重力とのバランスを保ちます。2足での直立の位置から、さまざまな移動、運動においても体のバランスを保つことができるのです。
体全身のバランスとは西洋医学で言うところのホメオスターシス、体の恒常性を保つ働き(自律神経・内分泌系など)、東洋医学で言うところの気の流れを良くすること、気のバランスを整えること(自己自然治癒力)に通じると考えられます。そこで、その重心のバランスなどを失ったときに私たちの体全体に身体的、精神的にもいろいろな悪循環、不都合が生じてくると考えられるのです。
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頭の位置が重要です。 |
人類は進化の過程で4足歩行から立ち上がり、1Gの重力の中で直立歩行するようになりました。そのため、4〜5キログラムもある頭部を首が支えることになりました。それによって、人類が2足歩行して直立することは、きわめて不安定なリスクを負うことになりました。
たとえば、首の前や後ろや横にもたくさんの筋肉がついています。私たちが動作を起こすときには、一つの筋肉だけでなく、いくつもの筋肉が一緒になって動きをサポートしています。あごがずれ、頭がずれて頸椎(首の骨)がゆがむと、首の筋肉が硬直収縮し、血管も圧迫されるため、脳への血流にまで悪影響をおよぼすといわれています。また一般に、脳につながっている神経が、背骨のすきまからでて周囲にのびているので前後左右に圧迫されると、しびれや痛みの症状もでるのだといわれています。
また、あごずれや良くないかみ合わせより、頭と体のバランスが崩れると、体に無理な力が加わり、脳はそれを修正しようと常に余分な活動を強いられるので、心身共にストレスがたまりやすい状態が続くと言われています。
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あごの位置の修正は歯科医師の仕事です。 |
体全体を考え、特に、体に対する頭部の重心バランスをとるために顎の位置の修正や咬み合わせの調整をすることは、歯科医師の仕事です。
また、このような健康に関連したあごのずれの修正や咬み合わせの理論は従来の咬合理論における簡単な診査や診断によってできるものではありません。
現在の専門細分化された医療分野のなかでは、はっきりした原因がわからず症状を持ったまま悩んでいる患者さんがおられることも事実です。その方たちに対してそれらが、改善する可能性を示すことができる、まったく新しい観点に立った歯科医療の領域だと考えます。
理学・医学博士吉田勧持先生、池上六郎先生などが述べられているように人体は重力に対応して構造を作り上げ、下顎はその中で体の様々なバランスをとるきわめて重要な役目がある器官なのです。
他のいろいろな治療を受け、それでも思わしい改善のなかったと感じる患者さんの中には、あごずれの修正によって症状の改善につながる可能性もありますので、一度あごの位置、咬み合わせなどの詳しい検査・診断をお受けになることをおすすめいたします。
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